mishikino's diary

素人が作家として自分を昇華させる研究所

写経 - シロクロネクロ(第17回電撃文庫大賞、大賞作品)

本来は「写し」というようですが

禅のごとく黙々とする姿から「写経」とさせていただきます。

 

題材としたのは

第17回、電撃文庫大賞、大賞作品。

シロクロネクロ(多宇部 貞人 先生著)」

 

なんでこの作品なのか、というと「はじまり」がこの作品だったからです。

正確には「作家としてのはじまり」になりますが。

 

以前話しましたっけ?

活字物語には一切触れていないで、娯楽もあらかたやり尽くした感があり

純粋に「面白い」と思えるモノがなくなっていた折です。

 

本屋に私の胸ぐらいまで、まさに山積みにされていた現在進行形怪物作品。

ソードアート・オンライン(川原 礫 先生著)」に興味を持ちました。

 

その当時の私を簡単に表現すると

「文章なんぞ読んで面白いとか思えるヤツの気が知れねえよ」

「どうせアレだろ? 小難しいこと書いてインテリぶって悦に浸る類だろ」

「しかしなんだ。『剣』とか『魔法』はもうオワコンだと思うんだが」

「試しに買ってみっか」

こんな非常に、なめとんのかテメェ、と言われざるを得ないモンでした。

 

そんな私がSAOを読んで面白いと思ったか!?

 

いえ、そんなことはありませんでした。

「へぇ~、案外読めるもんだな。こういうのが『人気』なのか」

どこまでも自分勝手な存在です。

 

まあ、ひねくれているので、そこでこう思ってしまいました。

「こういうのを『面白い』と感じる世界に身を投じるのは『面白そうだ』」

 

今でこそ、読書(まだラノベのみ)や執筆は楽しいし面白いですが

2年前はそんなこと微塵も思ってはなく、ただ「この世界は面白そうだ」

そんな動機でした。

 

 

そこからはいざ行動。

本屋さんで自分の作品を並べて、「勝負」するにはどうすりゃいいの。

から始まり、新人賞というシステムを知り、受賞作品の読み漁りです。

 

まあ、そこの一発目で当たってしまったのが「シロクロネクロ」だったわけです。

ふーん、こういうのが「一番」なのか、と。

 

 

前置きが長過ぎますが、本題です。

 

シロクロネクロ書き終えました。

今だから判断できるのですが、これは「ネタ」で大賞を獲った作品ですね。

あと、多分ですが……その年度で新人賞では「テーマ」が決められています。

「今年はこんな作品を取ろう」みたいな感じです。

 

うま~く、そこにハマったんじゃないかなあ、と。

いえ、作品自体は受賞に相応しいと思いますよ。

全体的に見れば、私自身まだまだ足元にも及んでいないことがよくわかりました。

 

ただ、細かいミスが目立っているのと、

作中で主文体はいいのですが、副文体(?)と言えるものがブレッブレ

だったので、

「どういうミスは減点が少なくて」「どういうところで加点されるのか」

が非常によくわかる作品でした。

 

最初に出会った作品がこれでよかった。

運がいいと思いました。ラッキーラッキー。

 

あと、下ネタ苦手なので、私はこういうネタができないので

それも刺激になりました。

 

他者様の作品ですが、一応自分が書いているつもりで行っていたので

もうそういう武器となるネタが来ると思わずつぶやいてしまうのです。

 

 

    「この、ド変態が!!」

 

 

と。

あー、恥ずかしかった。自分の作品じゃまず経験できませんね!

これは予想していなかったので、思わぬ副産物です。

 

しかし、「シロクロネクロ」ですが、ムズカシイ文体でやってますねえ。

コメディとシリアスを混ぜるのは不可能と思っていたのですが、

無理に混ぜず、模様を作るように魅せることで可能にしてました。

ある意味、縞模様的な……。まさにシロクロ。

 

 

あとは、一人称視点における、三人称視点の混ぜ具合かなあ。

これはまだ研究不足なのでなんとも言えないのですが。

 

「混ぜるぐらいなら、一人称で統一しちまえ」

というのが、今のところの結論です。

 

なぜ、一人称なのか。

理由は簡単です。一人称の方が読者がすんなり物語に入れるから。

作者としては、脚色に乗せやすいという理由になりますかね。

 

私はかなり三人称くさい文章の出がらしで始まったため

根っこの部分は「三人称」なのですが、「一人称」に矯正中です。

 

三人称でも一人称並に引き込まれる作品も当然あります。

というか、一般文芸がそっちだと思うのですが……

 

  「それは文章力があって成り立つものなんです!」

 

なので、読書と執筆歴が2年程度の私じゃ無理なので、一人称確定です。

 

 

さてと、「写経」のお話をしましたが、

残念なお知らせですが、しばらくは写経ラッシュです。

 

もうそういうカリキュラムにしています。

次の写経は「エスケヱプ・スピヰド(九岡 望 先生著)」です。

 

シロクロネクロとはテーマも文体もネタも武器もまるで異なる

正反対って言ってもいいぐらいの作品なので、

今度はどんな発見があるか楽しみです。

 

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以上、御織乃でした。